新築を建てる際に誰もが気にするお金のこと。ただし、最初にかかる建物や土地の値段は気にするけれど、家を建ててからかかるランニングコストを気にかける人は少ないように感じます。家は人生最大の買い物ですから価格にこだわる気持ちは分かりますが、「安い家=お買い得な家」という考えは大きな落とし穴が待っているかもしれません。
安い家より長持ちする家や味わいを楽しめる家を
初期投資が2,000万円で定期的にメンテナンスが必要な家と、初期投資は3,000万かかってもいつまでも綺麗な状態を保てる家では、私は後者を勧めたいです。もちろん、必ずしも価格の高さが耐久性とイコールではありませんが、特に外壁や屋根は安い素材ほど劣化が見られます。内装でもフローリングなどは安いものだと10年ほどで汚れや劣化が目立ってきますが、いい素材を使えば時間がたつほど味が出て重厚感が増してきます。つまり、初期投資で素材や設備を安く済ませても結果的に20年〜30年後に補修のランニングコストがかかってしまい、長い目で見ると、初期投資で安かった分の差がなくなってしまう、むしろ長期的にみると高くついてしまうということが大いにあるのです。
長持ちする素材、経年美化を楽しめる素材とは?
では具体的にどんな素材が長持ちするのか考えてみましょう。
- 長持ちする素材…ガルバリウム、ガラス、瓦、タイル、石など
高耐久で知られるガルバリウムはホースで水洗いするだけで綺麗になり、メンテナンスも楽です。私の知っている一番古いガルバリウム住宅は築25年ほど経ちますが、どう見ても築5年ほどにしか見えません!
- 経年美化を楽しめる素材…天然木、無垢材、塗り壁、枕木、レンガなど
時間が経つほどに味わいが増すのはやはり自然素材です。30年〜50年後の無垢フローリングのキズや汚れは、家族の思い出や歴史も刻み、言葉には表せない渋さをかもし出します。
- 安価でもメンテナンスが必要な素材…コロニアル屋根、窯業系サイディング、合板のフ
ローリング、プラスチック板など
普及率の高いコロニアル屋根ですが、10年おきにメンテナンスが必要です。また、窯業系サイディングは氷点下になると凍害が起きやすく、塗装やコーキングの打ち直しが必要となります。合板フローリングは早いと5年ぐらいで表面が剥がれたり、ひび割れが発生します。
- 価格をあまり気にしなくても良い素材…キッチン、バス、トイレなどの住宅設備や建具
技術の進歩に伴い、これらについては強くて長持ちするものがほとんどです。どこのメーカーのものを選んでも大差がないのかもしれません。値段が高いほど機能はよくなりますが、本当に必要な機能なのかは疑問が残ります。
整形美人よりリチャードギアな家づくり
家は長く住む場所です。初期投資の安さにこだわるのではなく、メンテナンスしなくても年を重ねるごとにどんどん味が出るつくりが一番だと思います。なぜなら、たとえリフォームでメンテナンスしたところで、どうしてもリフォーム感は出てしまい、時間が経つほどに味わいが増す素材の渋さには適いません。りのいえでは大手ハウスメーカーより価格は抑えながら、長持ちする素材選びにこだわっています。例えるなら、年を取ってからお金をかけて手を加えた“整形美人”より、ノーメイクでも渋くてカッコいい“リチャードギア”のような家ですね(笑)