家づくりをする際に、「庭」の存在を後回しにしていませんか?予算や土地の都合上、建物にばかりお金をかけて、外構まではなかなか手が回らないというケースをよく目にします。でも、庭はプライベート空間である家の中と外部の公共空間をつなぐ重要な存在。中間領域としての庭が存在することで、一生の安心感が変わってくると言っても過言ではありません!その役割と重要性を考えてみたいと思います。
庭が安全欲求を満たしてくれる
庭の大きな役割のひとつが「家族のプライバシーを守ること」です。庭がないと外部と内部をつなぐ境界が曖昧になり、本来は一番落ち着ける場所である家の中が、何だか落ち着かない場所になってしまいます。「リビングから外が丸見え…」「いつもレースのカーテンを閉めている…」といった家は要注意!そもそも安心感を求めるのは人間の本能のひとつ。庭を眺めているだけで心が和むのも本能的な安心感と関係しているはずです。中間領域をしっかりと確保して家を庭や外構で囲ってあげなければ、居心地の良い家はつくれないと思います。
庭がつくれない時はどうすればいい?
でも、ただでさえ限られた土地に建物と駐車場のスペースを取られることを考えると、十分な広さの庭(中間領域)をつくれないケースもあります。そうした時は家の設計でプライバシーを確保する工夫が必要です。たとえば、1階のリビングから外が見えてしまう家には、あえて1階ではなく家の南側に吹き抜けを設け、2階の高い位置に大きな窓を取り付けてみてはいかがでしょうか?十分な採光は確保できますし、室内のプライバシー性もグッと上がるはずです。
玄関の存在も引き立てる
庭(特にアプローチ部分)は家の顔である玄関の存在も引き立ててくれます。感覚的な話になってしまいますが、ひと目で玄関が分からない家は良くないと思っています。玄関が分かりにくい家は、何となく暗いイメージ。家の中の風通しがあまり良くなさそうで自分の居場所も定まらないように感じます。風水で北玄関が良くないと言われるのもこれと無関係ではないはずです。逆を言えば北玄関でも明るい印象であれば問題ないと思います。玄関へつながるアプローチがあることで、こうした状況のフォローもできると考えています。
予算をかけずに中間領域をつくるには?
庭の役割は理解しても、建物に予算を使ってしまい外構にはあまりお金をかけられないというのも実情ではないでしょうか?もちろん、工夫次第でお金をかけずに中間領域をつくることは可能です。例えば植栽はその代表例。多少手入れは必要になるかもしれませんが、それ以上に心を満たしてくれるメリットの方が大きいはずです。他にもフェンスやブロックで中間領域をつくるのも良いと思います。
ウッドデッキの役割を考える
最近人気のウッドデッキについては、リビングに面した場所から延長線上に設置することをおすすめしています。それだけでリビングが広く感じて心がゆったりします。逆を言えば、「洗濯物を干すため」など機能的に使う目的を除くと、リビング以外の場所にウッドデッキをつけるのはあまりおすすめしていません。中間領域をうまく取り入れながら、我が家が一番落ち着く家づくりをしていってほしいですね。