最近、昔ながらの平屋のお家を希望される方が増えてきています。「将来的に子どもが家を出て2階は使わなくなるだろう」といった機能的な理由や、「外観が贅沢に見えるから」「デザインが素敵だから」など、理由はさまざまですが、いざ家づくりを始めると平屋住宅を建てられない方が大半です。それにはいったいどんな理由があるのかお話したいと思います。
平屋の方が二階建てよりコストが高い
平屋住宅を諦めざるを得ない最大の理由は、ずばり費用がかかるからです。例えば同じ床面積40坪の平屋と二階建ての住宅を比べた場合、基礎部分や屋根の面積は平屋の方が大きくなるため、それだけ費用がかさみます。平屋は、1階と2階に分けて部屋をつくらないため、平屋の40坪は、すべての面積に基礎と屋根の費用がかかってしまうのです。また、広い土地も求められます。建築コストや土地にかかる費用を合わせると平均で4~500万円、時には1,000万円ほど差が出ることもあるほどです。
平屋の家にメリットはないの?
もちろん、こうした費用面を踏まえたうえで平屋がいいという人もいることでしょう。すでに土地がある方や広くて安い土地を見つけた方、「夫婦二人が暮らせるコンパクトなサイズの家で十分」という方は平屋が向いている場合もあります。また、平屋だと二階建ての住宅には不可欠な階段ホールがなくなるため、その分のスペース(1階と2階合わせて畳4枚分ほど)を自由に活用できるというメリットもあります。明確な理由で平屋を希望される方は少数で、多くの方は外観の見た目がおしゃれだから、などなんとなく平屋が良いと言っている方が多いです。
本当に平屋が必要なのか深層心理を引き出す
漠然とした理由で平屋を希望している方のお話を聞いてみると、お客様自身もどうして平屋が欲しいのかはっきり分かっていないことが多いです。たとえば、「写真で見た平屋の住宅が素敵だった」という理由の裏に、広いリビングの住宅が欲しいという本音が隠れていたり、「庭とリビングがつながった光景に憧れている」「リビングの隣に寝室が欲しい」など、二階建ての住宅でも十分叶えられるケースもあります。本当に平屋が必要なのかどうか、深層心理を紐解きながら、お客様の希望を明確にしていくよう心がけています。
感覚だけではなく本質を見極めるのが大切
ものを購入する時、多くの場合「好きか嫌いか」の感覚で選ぶことが多いと思います。それで失敗してしまうこともあるかもしれませんが、住宅の場合は高額なだけに絶対に失敗は避けたいですよね。「家は3回建てないと分からない」などと言われることもありますが、感覚だけではなく、深層や本質を見極めながら「なぜそれが良いのか」を明確にすることで、1回で満足できる家を建てられるのだと思います。