家づくりのイメージを膨らませるために見学会に足を運ぶ人も多いと思います。完成した住宅を見ながら家づくりを学べる貴重な場ですが、ついつい「キッチンはどうなっているの?」「床材は何が使われているの?」など、デザインや設備そのものに目が行きがちです。実は、家づくりを進めるうえでこうした要素の大半は自由に選ぶことができます。それよりも完成見学会では、次のポイントを意識することで失敗しない家づくりにつながると思います。
良い家を勉強するために完成見学会を活用する
「何でこの場所に〇〇がないんだろう?」「ここに〇〇があればいいのに…」といった視点で見学されている方をよく見ます。確かに自分の理想と違う部分が気になってしまう気持ちは分かります。でも、その逆に「何でこの場所に〇〇があるのか?」、その理由を考えながら見学する方が勉強になると思います。
例えば、「もしここにこの窓がなかったら、光が入らずに暗くなるのでは?圧迫感も感じるのでは?」といった具合にです。ついつい、ないものを付け足したいと考えてしまいがちですが、そこにある理由を考えることで、建築の奥深さが分かってくるように思います。
その家でのリアルな暮らしを想像してみよう
また、新築のきれいな家を目の前にして、憧ればかりが先行してしまうケースもよく見られます。ドラマの主人公のような華やかな暮らしをイメージしてしまう気持ちも分かりますが、それを楽しんだ後は現実に立ち返って、自分たちのリアルな生活を見学会の家に当てはめて想像してもらいたいですね。「家事をするときに効率的かどうか?」「買い物から帰ってきてキッチンまで行くときの動線は使いやすいか?」など、リアルなイメージを落とし込んでみると、自分たちにとって必要なものと不必要なものが見えてくると思います。
自分の理想を100%伝えるのは難しい
なぜリアルな暮らしを想像する必要があるかというと、見学会の家に憧れるあまりかえって大事なものを設計に入れ忘れてしまう危険性があるからです。特に、注文住宅の場合はなおさら!施主様の意向を汲み取って設計するのが住宅会社の仕事ではありますが、「お客様がそう言ったから」と言葉の真意に気づけずに設計してしまう住宅会社があるのも現状です。以前、「東側に窓をつけてほしい」というお客様の要望を受けたことがあります。でも、実際にそのお客様にとって重要だったのは、「東側に窓があること」ではなく、「東側の窓から朝日が見えること」だったのです。お客様自身もヒアリング時点ではそれをはっきり言葉にできなかったわけですが、そもそも自分にとって何がベストなのか完璧に伝えられる施主様はほとんどいません。たいていのお客様は30%程度しか言葉にできず、伝えることができません。残りの70%をどれだけ汲み取れるかが住宅会社の良し悪しを左右すると思っています。
完成見学会で住宅会社の良し悪しを見分ける
完成見学会には、そうした住宅会社の良し悪しを見分けるヒントも隠されていると思います。「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)はできているか」「スタッフの身だしなみや挨拶はできているか」といった部分に会社の文化が見えてくるはずです。契約が取りたいだけなのか、本当にお客様に喜んでほしいと思っているのかはやり取りしていく過程で伝わると思いますが、できればそれがすぐに分かると嬉しいですよね。
それを見極める術は…………。
正直、まだ完璧には分からないので発見次第、報告しますね(笑)。ただ、本気でお客様に喜んでほしいと思っているかどうかは、ふとした時のしぐさや行動に現れるような気がします。だからこそ、『りのいえ』ではヒアリングにコーチングを取り入れながら、お客様の100%の家づくりを引き出すこと、お客様の本当の喜びを見つけることに寄り添っていきたいと思っています。