コロナウイルスの感染拡大の影響で会社を休業せざるを得ない、
社員を解雇せざるを得ないという話も耳にします。
業界によってはやむを得ないこともあるかもしれませんので否定することはありませんが、
私が思い出したのは、Panasonicの創業者である松下幸之助の逸話です。
2つほどご紹介します。
1つは1929年(昭和4年)の不況時の話です。
浜口内閣が緊縮政策をとり、金解禁の断行なども含め経済界は委縮。
不況が深刻さを増し、さらに世界恐慌が起きました。
電機業界も多くのメーカーが倒産し、松下電器も売り上げが半分以下に急減。
たちまち在庫が増え、12月には倉庫が在庫でいっぱいになるという、
創業以来の深刻な危機に直面したそうです。
この頃、松下幸之助は病床におり、そこへ2人の幹部社員が様々な対応策を持ってきました。
幹部社員が提言する策の中で、
「この危機を乗り越えるには従業員を半減させるしかない」という話を聴いた後、
松下幸之助は、
「松下が今日終わるんであれば、君らの言うてくれるとおり従業員を解雇してもええ。
けど、わしは将来、松下電器をさらに大きくしようと思うとる。
だから、1人といえども解雇したらあかん。
会社の都合で人を採用したり、解雇したりでは、働く者も不安を覚えるやろ。
大をなそうとする松下としては、それは耐えられんことや。みんなの力で立て直すんや」
と言ったそうです。
それから松下幸之助は、工場は半日勤務とするが、給料は全額支給。
代わりに休日返上で在庫品の販売に全力を挙げることを指示。
意気に感じた社員の奮闘で、松下は危機を見事に乗り切ったということでした。
松下幸之助がいかに社員を大事にしているかが伺えますよね。