利他の心を鍛えるには、感性が必要です。
その感性で人の気持ちをキャッチするからです。
人の気持ちがわかる人でなければ、利他の心を持ちようがありません。
それが大前提です。
人が悲しんでいるとすると、どのくらいのレベルで共感できるか。
喜んでいる人がいたら、どのくらい一緒に喜べるか。
子どものころは感性が強いと言われています。
それが大人になっていくにつれて、社会人としての考え方や、
「自分の気持ちを押し殺すのが奥ゆかしい…」みたいな日本文化で、
感性を抑えてしまいます。
しかし、感性が無いわけではありません。
動物だから。
感性の師匠は人間以外の動物というほど、動物は感性でしか生きていません。
感性が無ければすぐ食べられてしまうからです。
どこに目が付いているのかと思うほど感性が強いのです。
それは無意識の判断です。
常々無意識の判断の中で生きているから、感性が研ぎ澄まされています。
私は昔からある情景が頭の中にあります。
砂漠の中でオアシスが一つしかない。
ワニが顔を出し、近くにはライオンがいる。その中で水を飲むシカ。
これに私はずっと違和感がありました。
人間からしたら、ライオンやワニと草食動物がいたら、
食べられてしまうんじゃないかと思ってしまいます。
しかし、野生で生きるシカにとっては、
「今のライオンは自分を食べないライオンだ」
というのを感性で明確に分かっているのです。
言葉で「食べるつもりはないよ」というくらい明確。
動物の世界には言葉は無いから、命を懸けた感性の研ぎ澄ましが必要です。
つまり、まずは相手の気持ちを敏感に感じ取る感性が無ければだめ。
利他の心は、感性に尽きます。
感性が大きくて、相手の気持ちを痛いほど感じ取ってしまう人は、
よっぽど心が冷たくない限り、助けてあげたいなと思うはず。
それが利他の心。
このお客様、「ここの部分の問題解決をしてくれる会社が見つからなくて、
困っているんだろうな。うちが助けてあげたいな」と、一生懸命になれる。
まずは、お客様が困っていると感じ取らなければなりません。
気持ちの存在に気付き、気持ちを知ろうとする意識を常々求める。
「今あのお客様がどういうことを考えているか想像してごらん」
を繰り返すことにより、感性が広がっていくのではないでしょうか。
気持ちの存在を知ることができます。
相手の気持ちになって考える。
事あるごとに、相手の気持ちを想像することを要求し合う文化を、
会社に作るといいのかなと。